避妊リング(ミレーナ)とは?
次の出産まで期間をあけたい、今後の出産をお考えでない方は、あなたに合った避妊法かつ信頼できる避妊法を選ぶことが大切です。避妊法として効果が高いものは、低用量ピル(OC)、子宮内避妊用具ミレーナ(子宮内避妊システム:IUS)があります。
ミレーナは総称して「リング」と呼ばれることもあり、子宮内に小さな避妊具を挿入する事で着床を防ぐものです。これらはピルと同じくらい確実な避妊効果を得られる上に、一度入れると5年間は入れたままなので、ピルのように毎日忘れずに飲むといったことが苦手な方にはおすすめです。
とりわけ、長期にわたって妊娠を考えておらず、子育てや家事、仕事で忙しくてついついピルを飲むのを忘れてしまうというお母さん、ヘビースモーカーでピルが処方出来ない方、肝機能が上がっていてピルを処方出来ない方、などを中心におすすめしております。
ミレーナ挿入(5年間) | 40,700円 (税込) 保険適用の場合の費用はこちら |
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※初診料・再診料・超音波検査料・薬代・材料費・手技料などを全て含みます。
ミレーナ(子宮内避妊システム)とは?
避妊リングの中で、黄体ホルモンを用いたものがミレーナです。様々な避妊具の中でミレーナはOC(低用量ピル)の高い効果と、避妊リングの長時間にわたる避妊という2つの特徴を併せ持っており、最も高い避妊効果があります。
ミレーナが従来の避妊リングであるノバTなどと異なるのは、ホルモン付きであるということ。それによって、子宮内膜に対するホルモンの効果も期待できます。黄体ホルモンが子宮内膜に作用すると、内膜があまり分厚くならないので月経時の出血量が減り、それにともなって月経痛も減ります。つまり、従来の通常のリングの効果に加えて、ピルの副効用(=良い作用)も期待出来るのです。
ミレーナのメリット
ミレーナは子宮内膜に作用して内膜(赤ちゃんのベッドとなるところ)が薄くなり、受精卵の着床(=妊娠の成立)を妨げたり、子宮の入口の粘液を変化させて精子が膣の中から子宮内へ進入するのを妨げたりすることで、避妊効果を発揮します。
ミレーナは黄体ホルモンが付加されていることで、ピルのような副効用(=良い作用、とりわけ月経量が減ったり、月経痛が改善したりする)が期待できます。にもかかわらず、ピルのように毎日服用しなければならないという煩わしさもないのです。
さらにミレーナが優れているのは、薬を飲むのと違って、局所つまり子宮内膜のみにホルモンが作用し、血液中のホルモンの濃度は上がらないことです。したがって、肝機能に異常があったり、ヘビースモーカーであったり、授乳中の方にも、血液のホルモン濃度に影響がないので使用できるわけです。
これらのメリットによって、ミレーナは現在では世界150ヶ国以上で、のべ1千万人を超える女性に服用されています。
的野ウィメンズクリニックでは、ヘビースモーカーでピルを処方出来ない方、血液検査で肝機能値に異常があった方、何らかの理由でピルを毎日同じ時間に飲むことが難しい方などへ、確実な避妊法としておすすめしています。
避妊の目的以外にも、過多月経の治療や内膜症の術後治療や更年期のホルモン療法の補助としても広く使われており、過多月経、月経困難症と診断された場合には保険適用になります。
ミレーナの費用
自費(税込) | 保険(再診) | 保険(初診) | |
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ミレーナ挿入 | 40,700円 | 10,740円 | 11,390円 |
抜去 | 5,500円 | 680円 | 1,330円 |
入れ替え | 46,200円 | 12,390円 | 13,040円 |
定期検診(1回目) | 2,750円 | 3,130円 | — |
定期検診(2回目) | 2,750円 | 1,820円 | — |
- ※自費診療・保険診療ともに上記の金額には初再診料が含まれております。
- ※上記の保険診療の金額は患者自己負担分(3割)を表示しております。
- ※保険診療の場合は非課税になります。
- ※保険診療が適用となりますのは、医師の診断の結果、過多月経や月経困難症と診断された場合に限られます。保険証をお忘れなくご持参ください。
子宮内避妊具は、出産経験がない方には使えないのかと言うとそういうわけではありません。非常に細いものに改良されてきているので、出産していなくても使うことは出来ます。ただし、出産経験のない10〜20代の女性は、子宮の入口が狭いため、挿入時に経産婦の方よりも強い痛みを伴うことがあります。
ミレーナ挿入に適した時期と対象となる方
ミレーナは、生理中~生理が終わって1週間以内に装着することが望ましいとされています。
生理後1週間を越えてしまうと内膜が厚くなり、避妊リングが子宮内より剥がれ落ちる可能性が考えられるためです(自然脱落)。実際に、適した時期に挿入しなかったために、避妊リングが剥がれ落ちるケースはベテランの熟練した医師であっても稀にあります。とりわけ、大きめの子宮筋腫がある方は、そのリスクが高くなる傾向にあります。子宮筋腫については、ミレーナに含まれている黄体ホルモン剤の効果で、子宮筋腫が大きくなることを防ぐ効果があります。そのため、40代半ばなどで筋腫が肥大傾向にある方などは、ミレーナを装着することで、子宮筋腫がそれ以上大きくなることを防いで閉経に持っていくことができる可能性があります。閉経すると子宮筋腫はそれ以上大きくならないので、ミレーナ装着によって、手術をせずに閉経まで何とか持ちこむことができ、結果として子宮筋腫を手術を行わないまま温存することができる可能性があります。そのため、子宮筋腫の方にも、ミレーナを挿入することをおすすめする場合がありますが、その場合には自然脱落の可能性も伴うことをご理解下さい。(子宮筋腫のある方が、脱落せずにミレーナを装着できるかどうかについては、その方の筋腫の位置や大きさによりますし、個人差もありますので、実際に装着をしてみなければわかりません。)その他、ミレーナは、子宮内膜症や月経痛がひどい方にもおすすめです。
もしも、せっかく挿入した避妊リングが剥がれてしまったら、衛生的な観点等から、また新しい避妊リングを挿入しなければならないことになっています(子宮筋腫などで脱落した場合には位置が適さないと判断して、再度の挿入は控えることが一般的です)。その場合は、当院では材料費の一部のみを頂くようにしたいとは思いますが、材料費そのものも高価であるので、費用や通院の手間も含めて患者様のご負担が多くなってしまいます。
しかしながら、脱落せずにミレーナを挿入することができた場合には、月経痛などの痛みが減り、月経量も減る効果がありますので、QOLの向上につながります。
ミレーナ挿入をご希望の場合は、タイミングとして可能であれば、生理がはじまったらすぐ(生理1日目)に当院にお電話、もしくはインターネットにてご予約をお取り頂くことをおすすめいたします。
ご予約の際は、出来れば生理の4日目あたりをご指定下さい(生理中ですので、出血があって構いません)。万一、ご予約が取れない場合でも、直接ご来院頂ければ、診療時間内であれば適した時期に挿入をさせて頂いております。(ご予約なしで来院の場合には、ご予約の方が優先となりますため、お待ち時間を頂く場合がございますが、ご理解頂ければ幸いです。)
ミレーナ(子宮内避妊具)が適している女性とは?
- これ以上妊娠を希望しない女性
- 次の出産まで期間をあけたい女性
- 長期にわたり避妊を望む女性
ミレーナ(子宮内避妊具)が適さない女性
以下の方は、子宮内避妊具(避妊リング)が使用できない場合があります。使用できるかどうかは状態により異なりますので、詳しくはお電話にて院長までご相談ください。
- ミレーナの場合、その成分(ノボノルゲストレル)に過敏症がある
- 月経以外の異常な性器出血がある
- 性器の癌、黄体ホルモン依存性腫瘍にかかっている。またはその疑いがある
- 医師に子宮の形や位置に異常があるといわれたことがある
(子宮腔の変形があるような子宮筋腫を含む) - 性器の感染症がある(子宮内膜炎・卵管炎など)
- 過去3か月以内に性感染症にかかったことがある(細菌性膣炎・カンジダ症・再発性ヘルペスウィルス感染症・B型肝炎・サイトメガロウィルス感染を除く)
- 子宮頸管炎または膣炎にかかっている
- 現在、骨盤内炎症性疾患(PID)にかかっている、または何回もPIDを繰り返している
- 過去3か月に分娩後子宮内膜炎または感染性流産を経験したことがある
- 子宮外妊娠を経験したことがある
- IUS・IUD(子宮内避妊用具)挿入時や子宮の出口(頸管)を拡張する時に強い痛みがあったり、脈が遅くなったり、失神したことがある(迷走神経反射を起こしたことがある)
- 重い肝障害または肝腫瘍がある
- 現在、妊娠をしている、または妊娠している可能性がある
ミレーナ(避妊リング)の使用に注意が必要な女性
以下の方はミレーナを挿入する前に必ず医師に申告してください。
- 先天性の心疾患、または心臓弁膜症がある
- 糖尿病である
- 肝障害がある
- 出産経験がない
- てんかんがある
- 副腎皮質ホルモンの長期投与療法を受けている
- 授乳中である