中絶手術後の避妊 〜繰り返さないために〜
中絶手術後の月経はいつ頃からきますか?
中絶手術後30〜50日位で月経は来ます。ただし、2ヶ月を超えて月経が来ない場合には、中絶のストレス、トラウマによる月経不順の可能性などがありますので、来院のうえ受診をお願い致します。
中絶後の性交渉はいつから良いですか?
およそ2週間で出血が止まってきますので、その位の時期で出血が止まっていれば性交渉を許可していますが、ただこの時期はちょうど排卵の時期ですので、しっかり避妊して頂かないと、次回の月経を待たずに連続して妊娠してしまうケースが本当にあります。そういった事態を避けるという意味で、また十分に回復するまでは様子を見るという意味でも、最初の月経が来るまでは、性行為を控えた方が良いかと考えます。
繰り返し中絶手術を受ける方がいます
中絶手術後は出血や悪露が1週間〜10日間程続きます。およそ2週間後には出血や悪露は止まりますので、性交渉を再開して頂いても構わないのですが、この時期はちょうど排卵の時期にあたってしまいます。そのため、このときコンドームやピルなど避妊対策を取られていない方は、中絶手術後、次の生理を待たずして連続して妊娠してしまう可能性があります。実際、次の生理を待たずしてまた妊娠してしまい、中絶を繰り返してしまう方が当院でも年に数名おられます。(当院では過去6年間に12人おられました。)
私がこの仕事をしていて思うのが、世の中の男性は避妊法において考え方が適当な方が多いということです。女性にとって中絶は自らの身体に関する問題である一方で、男性にとって妊娠はあくまでも他者の身体の問題であるという事実から仕方がないと言えるのかもしれませんが、とりわけパートナーがこの中絶手術を受けることになった男性には避妊法について今一度深く考えて頂きたいと思います。
そして女性のみなさまには、「自分で自分の身を守る」という意味で、より確実な避妊法であるピルや避妊リングなどの正しい知識を身に付けて頂くことが大切かと思います。中絶術後は早めに経口避妊ピルの服用や、特に経産婦で長期間妊娠を希望なさらない方は避妊リング(ミレーナ、ノバT)の使用をお勧めしております。
ご希望の方は、中絶手術後の術後検診時にピルや避妊リングのご説明させて頂きます。当院では経済的なご負担の少ない、ジェネリックピルも取り扱いをしております。避妊リングをご希望の方には、手術終了後の麻酔が効いている状態で避妊リングの挿入を同時に行なうことや、手術後検診の内診時に併せて避妊リングを挿入することも可能ですのでご相談下さい。
※ ピルの服用やリング挿入はあくまでも個人の意思ですので、強制することはございません。
※ 手術日当日の避妊リングの挿入は、手術当日の出血量や患者様の既往歴等によって、術後検診時に変更させて頂くこともありますのでご了承下さい。
よくある質問
- 手術後、妊娠出来なくなりませんか?
- 中絶手術によって、将来妊娠しにくくなることはほとんどありません。安全にきちんとした手術を受ければ、その後の妊娠に影響は与えることはありません。
しかしながら、中絶手術を繰り返すことによって、以下のようなリスクがあります。
- アッシャーマン症候群(頻回に中絶手術を行なった方に起こる子宮腔内の癒着、子宮内膜の再生不良)による不妊。
- 中絶手術を何度も繰り返した場合、着床時にベッドになる子宮内膜が薄くなってしまい、着床障害の原因となることがあります。
- 子宮内膜の癒着が起こり、無月経、過少月経→不妊症の原因となることがあります。
- 今後の流早産のリスクが増えたり、分娩時の出血が増えやすくなる原因の一つとなりえる。(子宮の出口がゆるみやすい状態にあるという事)
いずれの症状も医療技術の進歩により、適切な処置を伴わない中絶を繰り返す女性が減っていること、また手術後に抗生物質が処方され、衛星面で管理されるようになってきていること等により、昔にくらべて現在の日本ではめずらしい症状となってきています。したがって、この手術をはじめて受ける女性は必要以上に怖がることはありません。しかしながら、中絶を幾度となく繰り返したり、処方される抗生物質をきちんと服用していない場合などには、起こりえることですので、きちんと医師の指示を守り、手術後の検診や服薬指示を守るとともに、ピルや避妊リングなどのより確実な避妊を行うようにしましょう。