レルミナ錠:子宮筋腫や子宮内膜症でお悩みの方へ

◆レルミナ錠:子宮筋腫や子宮内膜症でお悩みの方へ

今日は、子宮筋腫や子宮内膜症でお悩みの方へ、レルミナ錠(GnRHアンタゴニスト製剤)のお話をさせて頂きます。
子宮筋腫は、子宮壁にできる良性の腫瘍で、30歳以上の女性の約4人に1人にできるとも言われています。子宮筋腫の発育には、女性ホルモン(エストロゲン)が影響しています。現代に生きる女性は昔に比べて、晩婚化で出産の回数が少なく授乳の期間も短く、初潮も早くなっているため、人生の中で月経を経験する回数が増えています。その結果、子宮筋腫はたくさんの女性に見られるごくありふれた疾患となりました。

子宮筋腫のお薬は色々ありますが、レルミナ錠が発売されるまで、昔から子宮筋腫の薬として用いられていたのは、リュープリン(リュープロレリン)、スプレキュア(ブセレリン)、ナサニール(ナファレリン)などのGnRHアゴニスト製剤です。

昔からあるリュープリンなどのGnRHアゴニスト製剤も、GnRHアンタゴニスト製剤(レルミナ錠)も、どちらも下垂体の機能を抑え、性腺刺激ホルモンが分泌されなくなることで、卵巣への刺激をストップし、エストロゲン(女性ホルモン)の値を低下させて、子宮筋腫や子宮内膜症に伴う諸症状を改善するという仕組みは同じで、これを偽閉経療法と呼びます。

では、昔から使われているリュープリンなどのGnRHアゴニスト製剤とレルミナ錠(GnRHアンタゴニスト製剤)との大きな違いは何かというと、レルミナ錠の方が(1)フレアアップがないこと(2) 経口薬であること、の二点にあります。

フレアアップとは、投与直後に一過性にゴナドトロピンやエストロゲンの分泌が刺激される現象のことで、その結果、リュープリンなどのGnRHアゴニスト製剤を使用した場合には、初期にまれに卵巣が大きく腫れることがあります。また、人によってはこの時期に、不正出血などを起こすこともあります。しかしながら、レルミナ錠では、このフレアアップが見られないという利点があります。

さらに、GnRHアゴニスト製剤として最も良く用いられるリュープリンは4週間に1回の注射であるので、仮につらい副作用があった場合であっても、そのつらい副作用は一か月持続してしまい、回復に時間がかかることがあります。この点においても、レルミナ錠は1日1回服用すれば良い経口薬であるので、服用をやめればすぐに中止することができます。(但し、一か月経過後の効果はどちらも同じで、どちらが優位性が高いということはありません。)

偽閉経療法の名が示す通り、無理やり更年期の状態に持ち込んでしまうお薬ですので、出血も止まり、人によっては月経が来なくなることもあり、過多月経や疼痛も改善されます。

このように、レルミナ錠の効能は、子宮筋腫に伴う諸症状の改善、及び子宮内膜症に伴う疼痛の改善となっておりますが、個人的には、子宮筋腫の縮小が期待できることが最大のベネフィットではないかと思われます。

子宮筋腫は悪性腫瘍に変化することがほとんどないため、そのまま放置していても問題はないことの方が多いのですが、生活に著しい支障をきたすほどの過多月経や疼痛を伴う場合には、手術を検討することがあります。また、10センチを超えるような大きな筋腫の場合にも、膀胱や尿管を圧迫したりするなど、尿路系のトラブルを引き起こすこともあり、稀に悪性の肉腫に変わるものもあるので、手術を考えなければならなくなります。

しかしながら、子宮筋腫は女性ホルモンによって増大するという性質があるため、一般的に閉経後は逆に縮小する場合が多く、閉経までいかなくても、年齢によりホルモン分泌が少なくなってくると、筋腫が小さくなることが期待されます。

そのため、なんとか閉経に持ち込むまで温存できれば筋腫は小さくなる可能性が高いので(少なくともそれ以上は大きくならないことの方が多い)、45歳を過ぎている場合は、かなり大きい筋腫でも手術を差し控えて、閉経に持ち込むことが良くあります。

レルミナ錠は、服用から半年後には約50%近くも筋腫が縮小するという報告もあるそうですが、そこまでいかなくても、身近な例では、実は、私の家内もレルミナ錠服用によって、当初は10センチあった子宮筋腫が半年で、約7センチにまで縮小しました。(人により、個人差はありますのでご理解下さい。)

一方で、レルミナ錠による偽閉経療法の最大のデメリットは副作用として、主にホットフラッシュのような更年期の症状が出たり、6カ月以上の長期投与では骨粗しょう症のリスクがあるため、長期投与が出来ないことです。さらに、これまでのリュープリンなどに比べて、価格が割高であることもデメリットの一つです。

しかしながら、更年期症状については、エストロゲンを補ったり、漢方薬を一緒に服用することで改善することができます。また、骨粗しょう症のリスクを避けるため、6か月を超える継続服用の場合には、一旦服用をやめて骨密度の検査を行います。

出来ることなら手術をしないままで閉経を迎えたい、その気持ちは女性なら、みな同じ。そのような時に、より手軽に服用をすることができるレルミナ錠は、多くの女性にとって大きな手助けの一つとなることでしょう。

◆レルミナ錠の効能

・子宮筋腫に基づく右記諸症状の改善:過多月経、下腹痛、腰痛、貧血
・子宮内膜症に基づく疼痛の改善

◆重大な副作用

うつ状態(1%未満)、肝機能障害(頻度不明)、狭心症(1%未満)

◆主な副作用

不正出血(46.8%)、ほてり(43.0%)、月経異常(15.5%)、
頭痛(5%以上)、多汗(5%以上)、骨吸収試験異常(5%以上)等

◆レルミナ錠の費用(院内処方の場合)

  30日分 60日分   90日分 1か月分追加ごとに
初診 9,060円 17,070円 25,080円 +8,010円
再診 8,580円 16,590円 24,600円 +8,010円

※診察料+薬剤情報提供料+処方料+レルミナ錠の価格です。

投稿日:2022年9月16日|カテゴリ:お知らせ