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◆子宮頸がんとは◆

子宮にできるがんには子宮頸がんと子宮体がんの二つがあり、子宮の入口付近にできるがんを「子宮頸がん」、子宮の奥の胎児が育つ場所にできるがんを「子宮体がん」といい、子宮頸がんは子宮がん全体の約7割を占めます。好発年齢は30代~40代で、2020年現在、日本では年間約 1万人が発症し、約 2800 人が死亡していて、女性特有のがんの第2位の発症率となっています。
この子宮頸がんの原因の約9割以上がヒトパピローマウイルス(以下HPVと略)の感染によって起こることが明らかになってきています。HPVは性交渉により感染するウィルスで最近では、性交渉年齢の早期化を理由として、若年者(20歳〜30歳)にも子宮頸がんが多くなっています。
予防法はHPVの感染を防ぐことに尽きるわけですが、HPVは一度でも性交渉経験のある女性なら生涯に感染する確率は80%以上とされる、ごくありふれたウィルスです。ほとんどの人は、感染しても自己免疫力などで回復するのですが、原因がわかりませんが、0.1%程度の割合で癌化してしまうのです。
罹患しても、前癌病変である異形成や上皮内癌では症状を呈することはなく、無症状であることが多いのが特徴です。そのため、子宮頸がんを防ぐためには、子宮頸がんワクチンを受けて頂くことが非常に重要です。
子宮頸癌はワクチンにより撲滅が出来る数少ない癌です。実際に女子の接種率が80%を超えたオーストラリアでは2028年には子宮頸がんは撲滅するとも言われています。将来、性交渉の可能性のある若年層とその親御さん、未婚の10代、20代の方などは、ぜひ接種を検討して下さい。

◆日本だけ増加傾向にある子宮頸がん罹患率◆

日本を含めた先進国では胃がんや肝臓がんの死亡率は減少しています。しかしながら、日本では子宮頸がんだけが増加の一途をたどっているとされています。原因は、日本では平成25年4月に子宮頸がんワクチンの定期接種が実現したものの、副作用と推測される事例が発生したために、厚生労働省が接種勧奨を差し控えるという発表を行ったためではないかと考えられます。しかし、その後も、副作用とされた症状と子宮頸がんワクチンの因果関係は証明されておらず、仮に接種しなかった場合でも、副作用とされる症状は十分に起こりえたことがわかっています。
マスコミの偏った報道により、子宮頸がんワクチン=危険という誤った認識が植え付けられてしまい、この結果、先進国の中では日本だけ、子宮頸がんの罹患率が増加傾向にあります。実際、私の外来でも、子宮頸がんの患者様は増えていると実感しております。子宮頸がんワクチンには副作用が「絶対にない」とは断定はできませんが、そのリスクは証明されておらず、子宮頸がんワクチン接種によって救える命の方が明らかに多いということが世界的に明らかになってきています。
前述しましたように、女子の子宮頸がん接種率が80%を超えるオーストラリアでは、男子にも接種開始しており、2028年には子宮頸癌は撲滅するとまで言われています。
HPVは男性でも、咽頭がん、直腸がん、肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因になります。尖圭コンジローマは、時には切除が必要な上に、再発の割合が高いやっかいなイボです。したがって、男性であっても、女性へのエチケットとして以上に、男性自身の予防のためにも、すべての若年層が接種をするべきだと私は思います。
厚労省の審議会で、男性接種の拡大の可否が審査されることになりましたので、日本でも今後、男子にも接種対象が拡大されればと期待しています。

◆「シルガード9」と「ガーダシル」「サーバリックス」の違い

HPVには100種類以上の型があり、そのうち性交渉により感染し発がんリスク等のある型は約20種類程度と考えられています。今回、日本で公費助成の対象となった「シルガード9」は、いわゆる9価と呼ばれるワクチンで、発がん性の高い6/11/16/18/31/33/45/52/58型の感染に起因する子宮頸がん及びその前駆病変、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマの疾患予防に有効で、海外でのエビデンスなどから、90%以上の子宮頚癌と尖圭コンジローマを予防することができるとされています。
一方、「サーバリックス」は2価のワクチンで16/18型のみ、「ガーダシル」は4価のワクチンで、6/11/16/18型及び尖圭コンジローマ、内腫瘍などしか予防できません。これまで日本では、「サーバリックス」と「ガーダシル」の2価と4価しか公費助成の対象とされていなかったのですが、やっと待望の9価の子宮頸がんワクチンも公費助成の対象とされたことになります。


◆リスクとベネフィット

ガーダシルでは65%のカバー率にとどまっていましたが、シルガード9では子宮頸がんの原因の約90%をカバーできることになりました。しかしながら、既存のHPVワクチンでは、重大な副反応として、過敏症反応(アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹等)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)なども報告されております。
また、既存のHPVワクチンでは接種後に、広い範囲にひろがる痛みや手足の動かしにくさ、不随意運動などを中心とする「多様な症状」が認められました。
とはいえ、副作用として報告された症状と子宮頸がんワクチンの因果関係は完全には証明されておらず、仮に接種しなかった場合でも、副作用とされる症状は十分に起こりえたことがわかっています。子宮頸がんワクチンには副作用が「絶対にない」とは断定はできませんが、そのリスクは証明されておらず、子宮頸がんワクチン接種によって救える命の方が明らかに多いということが世界的に明らかになってきています。

◆ご予約・ご来院について

公費助成についてやご予約のスケジュール、接種間隔、ご予約時のお持ち物などの詳細・Q&Aはこちらのページに詳しく記載してありますので必ずご確認の上でご予約下さい。

〇在庫確保のために必ずこちらのページから事前にインターネットで予約して下さい。
〇接種前の説明、接種後の安静と合わせて1時間くらいの時間が必要になりますので、時間の余裕をもっていらして下さい。
〇未成年者の方は保護者の方の同伴が必須です。

※9価の子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)「シルガード9」が公費助成の対象となりました。(誕生日が1997年4月2日以降の方の公費助成についての詳細はこちらをご覧ください。)

◆自費診療の場合(誕生日が1997年4月1日以前の方)

・費用:1回につき25,000円(税別)
・接種回数:合計3回(2回目は初回接種の2か月後、3回目は6か月後)
・接種間隔:2回目と3回目の接種はそれぞれ1回目の2か月後と6か月後で、1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされています。2回目と3回目の接種をそれぞれ1回目の2か月後と6か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上、3回目は2回目から3か月以上あけます。

◆26歳までの方の公費助成についての詳細はこちらをご覧ください。

◆ご予約・ご来院について

在庫確保のために必ずこちらのページから事前にインターネットで予約して下さい。
〇接種前の説明、接種後の安静と合わせて1時間くらいの時間が必要になりますので、時間の余裕をもっていらして下さい。
〇未成年者の方は保護者の方の同伴が必須です。

◆HPVワクチン接種後のご注意

・注射針を刺した直後から、強い痛みやしびれを感じた場合はすぐに医師にお伝えください。
・痛みや緊張等によって接種直後に一時的に失神や立ちくらみ等が生じることがあります。接種後30分程度は安静にしてください。
・接種を受けた日は、はげしい運動は控えましょう。
・HPVワクチンは、合計2回または3回接種しますが、接種した際に気になる症状が現れた場合は、それ以降の接種をやめることができます

◆副反応

国内試験(MSD(株)HPより引用)
 注射部位の副反応は、本剤接種後5日間に100例中95例(95.0%)に認められ、主なものは疼痛93例(93.0%)、腫脹42例(42.0%)、紅斑33例(33.0%)、そう痒感4例(4.0%)、出血3例(3.0%)、熱感3例(3.0%)でした。また、全身性の副反応は、本剤接種後15日間に100例中14例(14.0%)に認められ、主なものは発熱3例(3.0%)、頭痛2例(2.0%)、悪心2例(2.0%)、感覚鈍麻2例(2.0%)、腹痛2例(2.0%)でした(承認時)。

ご予約についての詳細や接種間隔、スケジュール、ご予約時のお持ち物、公費助成の対象となる方などの詳細・Q&Aはこちらのページに詳しく記載してありますので必ずご確認の上でご予約下さい。